巨大ターミナル駅の、ほど近く。
時代に忘れ去られたようなエリアがあった。
江戸時代には染師が多く住み、「辻ヶ花町」と呼ばれていたそのエリアは、再開発の手をなぜか逃れ続け、未だに昭和の面影を保っていたが、人口は激減していた。
時代に忘れ去られたようなエリアがあった。
江戸時代には染師が多く住み、「辻ヶ花町」と呼ばれていたそのエリアは、再開発の手をなぜか逃れ続け、未だに昭和の面影を保っていたが、人口は激減していた。
2016年。
世界的な大型イベントの開催が決定した東京は、再び開発の嵐を迎える。
遂に「辻ヶ花町」にもその手は伸び、外資系大手デベロッパーがかつて「辻ヶ花神社」だった土地全てを買い上げるとの一報がもたらされ、住民たちは大混乱に陥る。
古い工房でたったひとり、今でも「辻ヶ花町」で染師をしている上槇は、下見にやって来たデベロッパーの話に疑問を抱く。
「この土地売買は、不法なものではないのか?」
上槇は小学校の同級生である探偵・羽沢に調査を依頼するが――。
「辻ヶ花町」で生まれ育った者たちが、複雑な想いを抱え、あなたと共にこの町を疾走する。
それぞれの、守りたいもののために。
※「東京四角形 -辻ヶ花サーガ-」は、「ある晴天の土曜日」の一日を、4人の主人公それぞれの目線から描いたシリーズです。